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日常や感想。 時々小ネタ。
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藍染←一護前提東仙×一護、…?(って程のものでもないですが)
微妙におかしい一護と東仙さん。







 広く静かな部屋の中、パチンパチンとどこかで聞いたことのあるような音が断続的に響く。近寄ればそれはふと途切れ、僅かに顔を上げた気配。

「東仙さん」
「何をしているんだい」
「んー、爪切り」

 まだ幼さを残す子供の声に、自然と眉根が寄る。その子供も、その行為も、今この場所には非常に相応しくないように思えた。
 虚圏というこの場所には。

「よくそんな物がここにあったね」
「あぁ、ウルキオラに持って来てもらったんだ。だってあの人が切れってうるせぇんだもん。自分はいっつも俺のこと傷だらけにするくせにさー」

 あの人、というのは我らの主である藍染のことだろう。彼がこの子供を酷く可愛がっていることは虚圏の誰もが知るところだった。
 橙色の光を纏った子供。この見えない目にも鮮やかな霊圧を纏った彼は、全てを捨ててここへとやってきた。家族も友人も生まれ育った世界も、それら全てを。
 尸魂界で、空に昇ってゆく自分達を見上げる彼は、その時確かに自分の正義で持って我らに刃を向けていた筈なのに。
 何故、こうも平然とこの場所にいるのだろうか。
 理解が、出来ない。

「東仙さんもやってあげようか?何かこうしてるとすげぇ平和って感じしねぇ?」

 冗談めかして言うその声音はただ面白がるようなものしか感じさせない。
 己の目には、視界はなくとも沢山のものが視える。距離感も話す相手の行動や仕草も、そこに含まれる感情も視える。けれど。
 こうして目の前で話をしているにも関わらず、この子供だけは何もかもが遠く感じた。
 声を聞いてもその本心がどこにあるのか分からない。
 笑っているように聞こえても、その表情が本当に笑んでいるのか分からない。
 そしていつでも笑っている。何故かそう、感じた。

 何故、笑っている?


「一護君、君はどうしてここにいる」
「どうしてって?」
「君には、君の護るべき世界があったのではなかったかい」
「おかしなことをいうんだな」

 パチン、パチンと、また、音が響きだす。
 まるでそれに隠されてしまったように、その声には僅かな揺らぎも伺えない。ただひとつ、くすりと溜息のような笑い声が落ちた。

「理由なんて、みんなとそんな変わらないよ。俺は俺の欲しいもののためにここにいるんだ」
「欲しいもの、」

「俺はあの人を愛してるから」

 パチン、とまたひとつ。

「…あの人が、君の事を愛していると思うのかい」

 敵対していた筈の彼らが一体いつの間にその様な関係を築いたのか己には分からないし知る必要もない事だが、確かに藍染様はこの子供を気に入っている。
 けれど、彼の人が真に誰かを愛することなどないのだと、やはりここにいる誰もが知っていた。
 それは、この子供にも知れることであった筈。
 言って、返答を待つ間何故か酷く喉が渇いた。

「いや?でもいいんだよそんなことは」
「けれど君には、君を愛する人がいただろう」

 愛し愛される世界で生きていくことが出来たのだ。それを捨ててまで、ただあの人の傍に居ると言うのだろうか。
 そんな愚かなことを選ぶような人間だとは思えなかった。

「それをあんたが言うのか。何か矛盾してねぇ?」

 …子供のいうことは分かる。やはり友を置いてここへ来た己が、何故この子供に今更諭すような事ばかり言うのかと。たとえ現世に戻ったとしても、いずれは消される世界だ。
 はは、と笑う声と、かちゃりと爪切りを置く音が被って、そしていやに凪いだ空気がその子供から発せられた。

「東仙さんは優しいんだね」

 それは違う、と動くはずだった唇は、その声に含まれるものに押し止められ。

「でも言ったろう?俺は俺の欲しいもののためにここにいる」

 ふわりと、ただ真実を告げるだけの声で。



「俺はこの愛しか知らないし」



「この愛しかいらないからね」


 そして、初めて彼の笑った顔が視えた。



 
 短くなった爪で主の許へと向かう背中に、溜息を吐く代わりにそっと俯いた。

 あの人への愛を語るその声にその笑顔に、惹かれる己の何と愚かな事だろう、と。








藍様大好きっ子な一護さんとそんな一護さんに微妙に惹かれる東仙さん。
例によって東仙さんの喋り方がいまいち分かりませんorz
東一にあんま見えない…これは寧ろ藍一に属するのか…?(てかこれ東仙さんである必要性があんまり…げふげふ)
ちょっと何か日記小ネタの藍×女の子一護さんと被ってるような気がしますが関係ありません><(あっちの一護さんと似てそうな予感ひしひし)

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